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顎関節症・顎変形症治療の最前線シンポジウム

2025年12月7日開催

顎関節症 顎変形症 矯正治療 デジタル技術 外科矯正
246
録音時間
3
登壇者
0
決定事項
0
アクション
5
主要トピック

本シンポジウムでは、顎関節症および顎変形症治療の最前線について、MRI、スプリント、デジタル技術、外科矯正といった多角的な視点から議論された。機能と形態の同時改善の重要性、TCHや関節円盤転位が骨変化に与える影響、そして小児期からの早期介入の可能性と課題が強調された。

森田先生 山田先生 中野先生 参加者

はじめに:開会の辞と登壇者紹介

本シンポジウムの趣旨は、大学や開業医の垣根を越え、顎関節症や顎変形症治療における実践的な議論を行うことである。

  • 登壇者:森田先生、山田先生、中野先生。

森田先生ご講演:顎関節症状を伴う矯正治療 — 顎関節の骨変化とTCHの関連性

顎関節症状を伴う矯正治療について、症例提示を交えながら講演。顎関節吸収のメカニズムとTCH(Tooth Contacting Habit)との関連性が示された。

  • 症例提示:35歳女性、下顎前突、開咬、顎関節雑音・痛み。下顎頭の短縮・変形、関節円盤の整位不能がMRIで確認されたが、矯正治療の対象と判断。セルフケア指導も実施。
  • 治療経過と結果:良好な咬合関係が確立され、顎関節痛の問題は解消。下顎位、咬合平面の改善が見られた。
  • 顎関節吸収のメカニズム:骨の代謝とメカニカルストレス(不良咬合、TCH、食いしばり、外傷)のバランスが重要。年齢、免疫疾患、ホルモンバランスも影響。
  • TCHと顎関節骨変化の関連研究:日中の食いしばり習慣と顎関節の骨変化に関連性が見られ、過重負荷が骨変化を引き起こす可能性が示唆された。
  • 顎関節治療と機能・形態改善:機能と形態の改善は密接に関連しており、中心位咬合の確立が重要である。

質疑応答(森田先生へ)

顎関節症治療後の筋機能改善について、咬合挙上装置(ポジショナー)による中心位での安定化の重要性が議論された。矯正治療後の保定装置と同様に、顎位安定のための保定的な方法が必要であるとされた。

山田先生ご講演:臨床医の立場から見た顎関節症と不正咬合治療

臨床医の視点から、機能と形態の同時改善を目指す顎関節症と不正咬合治療について講演。複数の症例を通じて、安定咬合の確立とMRI診断の重要性が強調された。

  • 自己紹介:矯正歯科医として大学病院と開業医の「二刀流」。機能と形態の同時改善を重視。
  • 症例提示:全身症状を伴う顎関節脱臼患者、アライナー矯正で顎関節症を発症した患者など。症状への早期介入、MRIによる関節円盤評価、読影力の重要性を指摘。安定した顎位決定の必要性を強調。
  • 治療アプローチ:行動療法とスタビリゼーションアプライアンスから開始し、最終的に安定した咬合を確立。夜間はリラックスポジションにスプリントを使用。
  • リラックスポジションの重要性:日中・夜間の食いしばりによるリラックスポジション喪失が顎関節症の原因となるため、治療後も維持が重要。

質疑応答(山田先生へ)

顎骨後退を促すストレッチは行わず、咬筋の過活動抑制を検討していると説明。大臼歯の遠心移動による関節円盤の整位は現在アプローチしていないと述べた。

中野先生ご講演:外科矯正医が考える顎関節症と顎変形症の未来

外科矯正医の視点から、顔面非対称と顎関節症のメカニズム、そして未来の治療展望について講演。

  • 研究のきっかけ:実妹の外科矯正経験から、顎変形症と顔面非対称に深い関心を持つ。
  • 顔面非対称の外科矯正:オトガイの正中線からのズレが3-4mm以上で外科矯正を検討すべき。非対称を伴う症例は安定性が低い。
  • 動物実験(ラット):下顎強制変位が下顎骨体、骨密度、筋肉、下顎頭の左右非対称な変化を引き起こすことを示唆。
  • 下顎頭変形と関節円盤転位:関節円盤の転位は下顎頭の成長抑制や将来的な変形のきっかけとなる可能性がある。小児期の転位が正常な成長発育を妨げる可能性を指摘。
  • 顎関節症治療の変遷とエビデンス:セルフケアの重要性が認識される一方、確かなエビデンスが不足。小児期の関節円盤転位の早期発見・早期治療の倫理的課題も提示。
  • 顎関節症・顎変形症予防への提言:不正咬合は歯の喪失リスクを高めるため、機能的な咬合の確立が重要。将来的な治療法として、進行抑制療法、サイトカイン研究、PRP療法、人工関節の可能性に言及。

質疑応答(中野先生へ)

下顎頭の進行性変化を避けるため、若年期からの介入と咬合への過度な負荷を避ける下顎位誘導の重要性を強調。痛みや開口障害を伴う関節雑音には関節内注射を検討するが、症状のない雑音は経過観察を推奨。円盤転位の原因はメカニカルストレスと生体側の要因の複合的な関連性にあると説明した。

総合討論

顎関節症と不正咬合の密接な関連性、クリックや雑音への早期介入の重要性、アライナー矯正における顎関節治療の課題などが議論された。顎関節の状態を常に意識し、検査することの必要性が共通認識として挙げられた。

企業プレゼンテーション:アソウインターナショナル

アソウインターナショナルより、歯科医療用品の製品紹介とセミナー情報が提供された。

  • EMA(エラスティックマンディブルアプライアンス):睡眠時無呼吸症候群治療用口腔内装置。
  • LuxaPrint(ラックスクレア)3Dプリンター:院内でスプリントなどを製作可能な3Dプリンター。形状記憶特性を持つ樹脂を使用。
  • WithScan(ウィズキャン)口腔内スキャナー:小型軽量で幅広い用途に対応する口腔内スキャナー。
  • サポートとメンテナンス:製品の修理、洗浄方法、無料セミナー情報などが紹介された。

閉会の辞

シンポジウムを通じて、顎関節症や不正咬合治療における新たな視点や課題が共有された。治療はゴールではなく、患者の長期的な安定を見据える重要性が強調された。次回大会は来年12月3日に国立新美術館で開催予定。

参加者間会話(補足情報)

総合討論に加え、以下の点が議論された。

  • アライナー矯正と顎関節治療の課題:アライナー単独での円盤整位後の咬合安定化の難しさ、ハイブリッド治療や顎間ゴム・咬合挙上装置の工夫。
  • 顎関節の診断と治療方針:MRI以外の審査の重要性、各先生方の治療哲学(機能と形態、顎関節を無視しない治療)、専門セミナーの紹介。
  • デジタル技術の活用:3Dプリンターや口腔内スキャナー導入による臨床現場の変化と効率化。
  • 矯正歯科の未来:GPも顎関節治療を深く学ぶ必要性、若手教育、多分野連携の重要性、ストレスと顎関節症の関連研究。

決定事項なし

アクションアイテムなし

機能と形態の改善は密接に関連し、機能改善が形態改善を促し、形態改善がさらなる機能改善につながる。
— 森田先生
MRIは関節円盤の状態を直接評価可能な唯一の手段であり、画像診断の読影力が不可欠。
— 山田先生
顔面非対称を予防するためには、小児期の関節円盤転位を早期に発見し、早期に治療することが必要か。
— 中野先生