Key Metrics
38
分
録音時間
2
名
参加者
7
個
トピック数
Executive Summary
本セミナーでは、吉医師がAngel Alignerとリンガル装置を組み合わせたハイブリッド矯正治療の重要性と有効性を解説しました。複数の症例検討を通して、ハイブリッド矯正が治療結果の向上とディテーリング期間の短縮に大きく貢献することが示され、半デジタルセットアップの活用事例も紹介されました。
Participants
司会者A 吉医師
Discussion
はじめに
Angel Aligner Japan設立2年で初めての日本人登壇者である吉先生をご紹介しました。Angel Alignerは日本で急速に成長しており、吉先生は初期の臨床試験に協力した歯科医の一人として感謝が述べられました。吉先生はMaker Universityのご卒業であり、本日はAngel Alignerと組み合わせた治療についてご講演いただきました。
ハイブリッド矯正の必要性と吉医師の専門性
ハイブリッド矯正への取り組み
- 吉医師は、複数のアプライアンス(装置)を併用するハイブリッド矯正に取り組んでいます。
- 単一の装置だけでは全てのケースが完璧に終わらないため、両方を使うことの重要性が強調されました。
- 高い治療結果を得るためには、多くの症例の中から最高の品質を見つけ出す努力が必要です。
- 専門はリンガル矯正(Lingual orthodontics)です。
- 使用しているブラケットは、Dr. TakimotoとDr. Tsukuzoが開発したもので、ストレートラインメソッドと18x18スクエアブラケットを特徴としています。
- リンガル矯正の最大の利点は、その審美性にあります。
- メンターであるDr. Takimotoの教えである「目の前の患者に対し、最高の治療結果を出すために可能な限りのことをしろ、決して妥協するな」という哲学が紹介されました。
- 各患者に対し、最高の質の治療結果を達成するために全力を尽くすことの重要性が強調されました。
症例検討1:リンガル単独治療のケース
患者情報 (初診時)
- 主訴: 正中線の偏位、右側Class II、左側Class I。
- 所見: 重度の叢生、正中線偏位、軽度の側方オープンバイト、下顎左側6番の根管破折。Skeletal Class III、concave profile。
- 各歯が異なる形態を持つため、正確なリンガルセットアップモデルとインダイレクトボンディングが必須でした。
- 抜歯: 上顎小臼歯3本、下顎左側6番。
- レベリング後、TADs(Temporary Anchorage Devices)を下顎唇側に設置し、犬歯を直接牽引。
- 水平力を加え、正中線を修正し、下顎左側7番を近心移動させる(6番抜歯スペース利用)。
- 親知らず(智歯)のコントロール。
- 24ヶ月後: 下顎唇側にTADsを配置し、近心移動を継続。智歯のコントロールも開始。
- 臼歯の近心移動メカニクス: 下顎6番に唇側ロングフックを装着。抵抗中心からの力を利用し、舌側力と唇側力のバランスを取り、スムーズな臼歯の近心移動を達成。Class IIエラスティックも使用されました。
- 治療期間: 34ヶ月。
- プロファイルを維持しつつ、わずかに改善されました。
- 両側のClass I臼歯関係が確立され、正中線も改善されました。
ハイブリッド矯正の優位性:リンガル単独からアライナーへの切り替えケース
ハイブリッド矯正の必要性
- 全てのケースがリンガルブラケット単独で完璧に仕上がるわけではないという現実が指摘されました。
- 特にディテーリングステージでの課題に対処するためにハイブリッド矯正が有効です。
- 患者情報 (初診時): 24歳女性、主訴は上顎前歯の唇側傾斜。狭い歯列弓、Class II臼歯関係、薄い歯槽骨と歯肉。オーバージェット10mm。
- 当初の治療計画 (リンガルブラケット): 上顎右側5番(虫歯のため)、上顎左側4番を抜歯。下顎の叢生はIPRで解消し、TADsで前歯を後退。
- 治療経過と課題: 24ヶ月で抜歯スペースが閉鎖しディテーリングステージへ移行するも、28ヶ月後も側方部の咬合が不十分。ブラケット位置とトルクの非対称性が問題と判明。再ボンディングを行うも不十分で、治療期間は34ヶ月に達し患者のモチベーションが低下。
- アライナーへの切り替え: 患者の同意を得てアライナー治療に切り替え、2シリーズ5ヶ月で安定した咬合と前方ガイドが確立されました。
- 治療結果の向上が挙げられました。
ハイブリッド矯正の効果検証 (データ比較)
- リンガル単独治療30症例とリンガルブラケット+アライナー併用ハイブリッド治療30症例を比較しました。
- リンガル単独ケース: 平均治療期間28ヶ月、ディテーリング期間平均7ヶ月。25%以上の症例で12ヶ月以上のディテーリングが必要でした。
- ハイブリッドケース: ディテーリング期間平均3.6ヶ月。5ヶ月以上のディテーリングが必要な症例はわずか3.4%でした。
- このデータから、ハイブリッド矯正はディテーリング期間を大幅に短縮できることが示されました。
- 具体的なディテーリング期間短縮の例として、アンテリアクロスバイトの改善(リンガル単独3ヶ月→アライナー併用2ヶ月)や叢生・オープンバイトの改善(リンガル単独7ヶ月→アライナー併用5ヶ月)が挙げられました。
リンガルセットアップモデルと半デジタルセットアップの活用
リンガルブラケット装着の課題
- 各歯の舌側面の形態は個人差が大きく、ブラケットをそのままボンディングするとトルクやインポジションが非対称になりやすいことが指摘されました。
- 形態差を補うため、ブラケットと歯面間のレジンで隙間を埋める必要があり、ブラケットを舌側面にできるだけ近づけて配置することが重要です。
- 正確なブラケットポジションを決定するために必須とされます。
- 伝統的なマニュアルセットアップ: 精密な調整が可能ですが、時間と専門的な技術が必要です。
- デジタルセットアップ: 容易に対称的な歯列弓を作成できますが、スクリーン上での精密な咬合調整が難しいという課題があります。
- マニュアルとデジタルの両方の利点を組み合わせた、日本で特許を取得した独自システムが紹介されました。
- 目的: 高さ、正中線、咬合平面を正確に反映させることです。
- インダイレクトボンディングトレー作成の手順: セットアップベースから歯列弓を再配置するためのバイトブロック作成、シリコンによる位置保持、ワックスを用いた歯列弓転写、それを元にしたリンガルブラケットのセットアップ作成について説明されました。
症例検討3:MSV/MSEとAngel Aligner併用による拡大治療
症例3:Class III、上顎狭窄のケース (初診時)
- 24歳女性、主訴はハイカイン(上顎犬歯の高さ)。Skeletal Class IIIで上顎狭窄、下顎の左右非対称な偏位を伴っていました。
- 上顎の拡大にはMSV(Maxillary Skeletal Expander)を使用。
- 下顎の拡大にはAngel Alignerを使用。
- 両顎にリンガルブラケットを装着し、ディテーリングステージで両顎にアライナーを使用する計画が立てられました。
- 歯列弓を対称的に設計し、両側を同じ高さにレベリング。
- スピードのカーブを平坦化。
- 骨量への配慮(セットアップ作成時には無視する場合もある)。
- 各歯間に3.1mmのスペースを設け、20ステージのシミュレーションを作成。
- 3Dプリントの際、ベースラインが咬合平面と平行であることを確認し、バイブロックを使用して正確にセットアップベースに転写しました。
- まずMSEを使用して上顎を拡大し、1ヶ月半で37mm、その後1ヶ月半で44mmまで拡大されました(毎日活性化)。
- 下顎の拡大にはAngel Alignerを使用し、IPRなしで5mmの臼歯直立移動を達成。
- 治療の結果、前方と後方の交叉咬合が改善されました。
まとめと質疑応答
- 吉医師は、矯正歯科医として各患者に対し、最高の質の治療結果を達成するために全力を尽くすべきであり、目の前の患者のために可能な限りのことを行い、決して妥協しないことの重要性を再度強調しました。
- 司会者からは吉先生への感謝が述べられ、本日登壇した全てのスピーカーに拍手が送られました。
- 様々なトピック、異なるアプローチ、システム、治療法について学ぶことができたという感想が共有され、矯正歯科の多様性と症例治療の高い水準が強調されました。
- Angel Aligner社は、どのようなアプローチも歓迎し、常に先生方と協力していく方針が示されました。
- 参加者への感謝と、交流を深めるための案内がありました。
Decisions
決定事項なし
Action Items
Key Quotes
私は、複数のアプライアンス(装置)を併用するハイブリッド矯正に取り組んでいます。なぜ単一の装置だけでなく、両方を使うのか?それは、全てのケースが完璧に終わるわけではないからです。
— 吉医師
私のメンターであるDr. Takimotoは常に「目の前の患者に対し、最高の治療結果を出すために可能な限りのことをしろ、決して妥協するな」と教えてくれました。
— 吉医師
ハイブリッド矯正はディテーリング期間を大幅に短縮できることが示された。
— 吉医師